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ウェブサイト制作(契約)の現状

個人はブログに移行しましたが,まとまった情報について工夫を凝らして提供するのであれば,ウェブサイトが最適なメディアとなります。

ウェブサイトを公開するにあたっては,内容の打ち合わせ,コンテンツの制作,ウェブサーバー(後述)の用意,コンテンツの更新・保守といった作業が必要になります。

問題は各段階において生じることになりますが,ここでは,段階を踏んで解説します。

なお,注文者(ここでは「依頼者」といいます。)からみた解説をし,最後に業者側からの解説をします。ただ,依頼者にとってトラブルが起きないという事は,業者にとってもトラブルが起きないという事ですので,業者の方も,依頼者の立場に立った配慮をすることが重要です。

ウェブサイト制作契約においては,依頼者の方は専門家でないことが多いので,基本から詳しく解説します。

ウェブサイト(ホームページ)が表示される仕組み

 最初に,ウェブサイトが表示される仕組みについて解説します。

なお,ウェブサイトのことをホームページということもありますが,本来の意味はブラウザが起動したときに最初に表示されるように設定しているページのことをいうそうですが,いまでは同じ意味で使うことが多いようです。

さて,ウェブサイトというのは,テレビ放送とは異なり,そのデータが常にネットワーク上に流通している,というものではありません。

まず,ウェブサイトを閲覧したいコンピュータ(一定のサービスを受けるコンピュータという意味で「クライアント」といいます。)が,ウェブサーバー(ウェブサイトの情報を送信するコンピュータをいいます。)に対して,「ウェブサイトを見たい!」という依頼(リクエスト)をします。

ウェブサーバーは,このリクエストに応えて,リクエスト元に対して,ウェブサイトのデータを送信します。クライアントは,これを受信して,ブラウザ上に表示をすることになります。

イメージとしては,ファクシミリで,「資料を送って下さい」と依頼したら,返信として「はい。資料です。」といって,資料が送り返されてくるようなイメージです。

ポイントは,放送とは異なり,継続的に送信をしているわけではなく,あくまで依頼すなわち注文に応じて送信をしている,という点です。

少し話が外れますが,プロバイダ責任制限法においても,このような構造は意識されているようです。

ウェブサイト制作契約の性質

一定の電磁的記録(デジタルデータのことを,法律家はこう呼びます。)の制作を依頼するという意味で,請負契約であると考えることが素直です。

請負契約は,建物の建築のように,一定の仕事を依頼して一定の結果を求める契約です。

ただ,ウェブサイト制作にあたっては,制作者側からの相当の提案があること,CMS(後述)等の導入があるのであれば,解説や相談が必要になりますので,準委任契約(請負のように仕事を依頼しますが,引き受けた方に相当の裁量のある契約です。医療契約などがこれにあたります。)と見る余地もあるでしょう。

もっとも,どちらか片方に認定すること自体は,あまり有益な議論ではありません。結局,双方の権利義務は,契約の内容や事情によって個別具体的に決せられることになると思われます。

ウェブサイト制作契約の中身

  • コンテンツの制作は,誰が何をするのか
  • デザインについて,依頼者はどこまで注文できるか
  • ウェブサーバーは,誰が用意するか
  • コンテンツの権利は誰に帰属するのか
  • 保守はどうするのか

ウェブサイト制作契約の注意点-コンテンツ制作

意外に注意が必要なのは,コンテンツの制作についてです。

「ウェブサイト制作を依頼したのだから,コンテンツ制作は,業者がやるべきでしょう」と思われるかも知れません。

しかし,原稿は依頼者が作成しなければなりません(部外者に自社の会社紹介を書かせるのは無理な話です。)。

そのとき,どこまで業者側が関与するかという問題があります。

ウェブサイトに掲載する文章はワープロソフトで作成する文書と異なり,相応にレイアウト等に制限があります。レイアウトにあわせるために,文章をどう調整するのか,依頼者と業者とで,一定の合意をとっておくことが好ましいと思います。

これは,ウェブサイトの営業を受けた知人の弁護士から聞いた話なのですが,「先生(依頼者)も相当の努力が必要です」といわれたそうです。依頼者側としては,業者は媒体(メディア)を作るだけで,コンテンツの中身は自分で作るくらいの覚悟が必要なのかも知れません。

このあたりは契約書に入れにくいのですが,契約前の打ち合わせや,制作フローについて,細かく聞いておいた方が無難でしょう。

ウェブサイト制作契約の注意点-デザイン編

基本的に依頼者はデザインを自由に注文できるはずです。

ただ,サービスによっては,テンプレート通りで,小改修ができるのみとなっていたり,こちらのオーダーに制限がある可能性もありますので,よくよく注意が必要です。

なお,デザインに制約があるが安価なサービスというのは,法律事務所向けのサービスでも現にあります。

ウェブサイト制作契約の注意点-ウェブサーバーの用意

ウェブサーバーについては,先ほど説明したとおり,ざっくりというならば,訪問者の要求に応答してデータを送信するコンピュータをいいます。

ウェブサイトのデータを作成した後,これを公開するには,ウェブサーバーを用意して,これにアップロード(ウェブサーバーのコンピュータにデータを転送することをいいます。)するという手順を踏みます。

つまり,ウェブサイトには,データの他に,実際にこれを配信する設備が必要であるという事になります。

ウェブサーバーの維持は,なかなか手間のかかるものですので,これがちゃんと業者が用意してくれるか(当然,そういう契約になっているとは思います。),念のため確認が必要です。

また,ウェブサーバーは,一つで複数のウェブサイトが運営可能で,また,現に運営しているケースが非常に多いです。

他のウェブサイトのために使ってもよいか,という点も確認しておくのがベターでしょう。

なお,私の経験からいうと,業者が用意するウェブサーバーは,他のレンタル業者が用意したサーバーを又貸しするケースがほとんどです。それ自体にはなんらの問題が無い(むしろ,元の業者は大手であることがおおいので,ウェブサーバーの障害のリスクを回避できます。)のですが,あまり処理能力の高くないケースもあります。

特にCMS(繰り返しになりますが,後ほど説明します。)を使う場合は,ウェブサーバーへの要求水準が高く,負荷も高いので,動作の遅い(すぐにページが表示されない。)ウェブサイトになってしまう可能性があります。

CMSを利用する場合には,共有サーバーかどうか,そうであるとしてもCMSで快適に動くかどうかは確認した方がよいでしょう。

表示の遅いページは,ちゃんと見てもらえない可能性があります。

ウェブサイト制作契約の注意点-コンテンツの権利は誰に帰属するのか

基本的に,依頼者は,業者にウェブサイトのコンテンツの制作から,ウェブサーバーの設置管理まで依頼するので,著作権の帰属を意識する必要はありません。

ただし,著作権は制作した人に帰属するのが原則ですので,特別に約束をしないと,制作物の相当部分が,業者が単独か,業者と依頼者が共同で著作権をもつことになります。

普通に制作した業者が管理するウェブサーバーで公開している分には問題が無いのですが,将来,別の業者の管理するウェブサーバーでウェブサイトを運営したい場合,著作権が自分にないと,移転ができなくなってしまう可能性があります。

業者によっては,制作費を安く抑える代わりに,高額の保守費やSEO対策費を請求する場合もあります(そういうビジネスモデルを否定するわけではありませんが)ので,注意が必要です。

また,コンテンツの権利を依頼者が保持する事のメリットは,端的には,他のウェブサーバーに移せる(保守業者が選べる。変更できる。)という点にありますが,CMSをつかっている場合は,MySQLなどのデータベースシステムを使っていることがほとんどなので,そのデータの移行についても,必要なサポートが得られるか,注意が必要です。

ウェブサイト制作契約の注意点-保守はどうするのか

すでに解説したとおり,ウェブサイトは,ウェブサーバーが閲覧者からの要求に応じて情報を送信して表示するメディアです。

つまり,ウェブサイトを公開している間は,ウェブサーバーをきちんと動作させてその状態を維持することが必要になります。

ウェブサーバーもコンピュータですから,機械的トラブル,ソフトウェアトラブルが生じる可能性があります。

ウェブサイトの制作を請け負っている業者が,自社でウェブサーバーを設置あるいは管理することは,それほど多くはなく,ほとんどのケースでは外注,つまり他の業者からウェブサーバーを賃貸してそれで運営するということになろうかと思います。

その際,法律上は,依頼者に対して業者が直接に責任を負うことになります。しかし,責任を負うとはいっても,管理・保守をやっているのは別の業者となれば,業者からは手の下しようがありません。

ですから,依頼者としては,業者に対して,どこの業者のウェブサーバーを使うのか,その程度は確認しておいたほうがよいでしょう(業者の善し悪しが分からなくても,こういう質問をする事で,よくない業者に外注されることは防ぐことができます。)。

ウェブサイト制作契約の注意点-保守はどうするのか~CMS編~

さて,先ほどからなんども出ているCMSというキーワードですが,これは,コンテンツマネージメントシステム,コンテンツ管理システムと呼ばれ(英語だとContent Management Systemです。),一言で説明すると,ウェブサイトの制作と表示を兼ねるソフトが,ウェブサイト上で動作しているイメージです。

CMSは,自分でページを修正したり,新規に作成したりすることができますが,ウェブサーバーにかける負担が大きい(高性能なウェブサーバーが必要となります。)こと,また,操作はそれほど難しくはありませんが,それでも習熟が必要になる,という問題があります。

CMSを導入する場合は,費用が割高になると思われますが,しっかり,どの程度のサポートを行ってもらえるかについては確認をしたほうがよいでしょう。

制作業者からみたウェブサイト制作契約の注意点

上記の事情は,そのままウェブサイト制作業者にも当てはまります。

以上のような点については,依頼者との間でトラブルになりやすいので,しっかりと取り決めておいた方がいいでしょう。

依頼者は,制作業者ほど内実を理解していないので,依頼者の不理解や,依頼者の不理解に対する業者の不理解は,トラブルの温床となりかねません。

ウェブサイトの制作は,依頼者との共同作業という側面も強いので,簡単なメモでもいいので,打ち合わせの度に,文書の形で打ち合わせの結果を残して置くとよいでしょう。

デザイン・レイアウトといったものは,言葉で説明しようとしても,正確に伝えることは難しいものです。簡単なレイアウトだけでも依頼者に描いてもらって,コンセンサスを得ておいた方がいいでしょう。

合意後のデザイン変更については,回数を制限するか,料金を設定しておいた方が無難です。注文後の変更については,建物のように形がないものですから,簡単にできるものであると,依頼者側が軽く考えてしまっているケースもあります。

 

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(平成24年9月5日 弁護士 深澤諭史-なお,免責事項もお読み下さい