お問い合せ(メールフォーム24時間対応)
TEL:03-6435-9560(平日休日問わず9時から21時まで対応)
このボタンで電話
初回相談は無料です実績豊富な弁護士が今すぐあなたのお力になります
i@atlaw.jp 直接メールでのお問い合せも承ります

ウェブ制作,システム開発における議事録

ウェブサイト制作のIT法務システム開発のIT法務システム開発紛争などのページで繰り返し指摘してきましたが,まとめると,

  1. どちらも,正確な注文内容は契約後に決まる。
  2. 注文内容の確定には,ユーザー,ベンダーの双方の協働が必要である。
  3. お互いに最終的な合意や注文内容を予測できないので,内容や費用,リスクについて見解の齟齬が生じてトラブルになりやすい。
  4. 合意内容やその過程について,誤解が生じないように打ち合わせについて議事録を,できれば双方の署名押印つきで作成するのが重要である。
  5. 議事録は,双方の認識の共通化のみならず,整理にも有用なので,紛争防止のみならずプロジェクトの円滑化にも寄与する。

ということになります。

私は,なるべく相談にいらっしゃった方等には作成をおすすめしているのですが,「議事録を作るのが大変」「どうやって作ればいいのか」「相手に要求するのは難しい」というのが実情のようです。

そこで,ここではそのような疑問にお答えしつつ,手間も費用もかからない,システム開発,ウェブ制作の予防法務について解説します。

議事録にはなにを書けばいいのか

そもそもシステム開発において議事録を作るのは,事後に合意や打ち合わせの内容の理解に齟齬が生じて紛争になることを防止するためです。

ですから,書くべき事は認識を共通化しておかないと後日の紛争になりそうな事項です。

具体的には

  • 予算と時間
  • 要求仕様,性能,機能
  • 開発時の予算超過や期限超過のリスクの有無と程度
  • 連絡・打ち合わせ方法
  • 決めていない細目について,どれだけベンダーに委任されるか

といった点です。

議事録が作れない場合

「作るべきだ,作り方はこうだって,そんなこといわれても相手との関係で難しいよ」

そういうケースは少なくないと思います。

そのような場合は発想を転換し,別にとる方法があります。

そもそも議事録を作るのは双方の認識を言語化して明確にし,後日の争いを防ぐためです。ですから,議事録といった形でなくても,

  1. 打ち合わせの内容が言語化されていること
  2. お互いの認識の基礎(お互いが見られる)になること

この二つを満たしていればよい,といえます(逆に議事録があっても,これらの要件を満たさないのであれば,余り意味はありません。)。

議事録に代わるもの

打ち合わせの後に送るメールや,次の打ち合わせの席上で渡す「前回の打ち合わせ内容のメモ」といったものが考えられます。

これらは,一方当事者が一方的に作成したものであること,また,署名押印がないことから,正式な議事録よりは信用性は低いという問題があります。

しかしながら,すくなくとも言語化されていること,相手方も見る機会があったこと,そして,そのようなメモを出しながらも相手方から異議がなかったのであれば「異議が出ていないのだから,了解・納得していた」と考えることができ,証拠としての価値は十分にあります。

また,議事録であれ,このようなメモであれ,認識の明確化やそれを記録にとるという役割においては,基本的に異なることはありません。

ですから,こういったメモであっても作成して交付することで,途中で双方の認識にずれが生じたりするなどして紛争になることを予防することが出来ます。

システム開発,ウェブ制作において,議事録作成の義務はあるのか

これについて,直接判断した裁判例は,すくなくとも公刊物の中からは見つかりません。

しかしながら,システム開発のIT法務において解説したように,ベンダーには「プロジェクトマネージメント義務」があります。

裁判例は,「システム開発は注文者と打合せを重ねて、その意向を踏まえながら行うものである」と指摘しているとおり,プロジェクトマネージメント義務の履行においては,打ち合わせの有無と内実が重要になります。

そうすると,

  1. ベンダーにはプロジェクトマネージメント義務がある。
  2. その義務の履行には,十分な打ち合わせが必要である。
  3. 十分で効果的な打ち合わせをするために,また,その事実を証明するためには議事録が必要である

ということがいえると思います。そうなると,仮に法律上,議事録の作成義務がないとしても,そもそもベンダーの義務であるプロジェクトマネージメント義務を効果的に果たすには,議事録は重要なものになりますから,間接的に議事録作成の義務がある,というべきでしょう

議事録が難しければ,せめて,上記のような代替手段は執るべきであるといえます。

まとめ 議事録・メモは,紛争解決のためだけではなく
紛争予防のためにも作成すべき

議事録を作成するのは,紛争になった際に自分の言い分を通すという効果だけではなく,ベンダーにユーザーのニーズを伝え,ユーザーは納期や予算,リスクを知る,という効果があります。

議事録という形で用意するのが理想なのですが,「メモ」であれば,相手の同意は要りませんし,それどころか,相手方の理解を助けるという意味で,ベンダーにとっては顧客サービスの一環となります

メモを作ることは,自分にとっても記憶の整理にとても役に立ちますし,こういうことで顧客の満足度や紛争の予防につながるのであれば,安いものです。

担当者の方は,今からでも実践してみては如何でしょうか。

(平成25年2月13日 弁護士 深澤諭史-なお,免責事項もお読み下さい