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はじめに

ここでは多くの相談を受ける中で感じた,システム開発紛争,ソフトウェア開発紛争の種類と原因を紹介します。

類型① ベンダー技術等不十分型

一番多い相談が「納期までに完成しない」「完成したと言い張るがバグが多くて使い物にならない」「要求された使用や機能を満たしていない」というものです

そしてこれらは,ベンダーが技術や期間,費用などの点で甘い見通しを立てて受注してしまい,結局達成できなかった,という場合が多いように感じます(ただ,ユーザーにも責任がある場合があります。②以下で解説します。)。

このようなケースは,多くの場合-システム開発全般にいえることですが-契約直後に代金全額を支払っています。そうなると,契約を解除して代金を返還してもらいたいところですが,一度支払ったものを取り戻すのは大変です。また,単に納期遅れというのであれば,紛争が複雑化することはあまりないのですが,バグが多い,あるいは仕様や機能を満たしていない,という場合には直ちに判断することが困難です.

そうすると,お金を取り戻すことが大変であるばかりか,争いに多大なコストがかかることになってしまうことになってしまいます。

また,問題が生じてから長期間時間が経過してしまうと,契約解除が認められづらくなる可能性もあります。

コストを抑えながら解決を図ろうとするのであれば,契約解除はなるべく早めに決断することが重要です。なによりも,この様な事態に陥らないようにすることが大事です(予防方法については,コラムやガイドでたびたび書いています。)。

類型② ユーザー過剰要求型

システム開発,ソフトウェア開発というのは,ある機能や仕様の実現にどれだけのコストと時間がかかるのか,現場の技術者以外は想像することが難しい,という特殊性があります(この業界に限ったことでは無いと思いますが。)。

たとえばWindowsの場合,標準のデザインのダイアログボックスを表示するだけなら,一行のコードで実現できますが,少しでもデザインを変えるとなると,かなりの分量のコードを記述しなければなりません。少しのデザインの変更,と思ってユーザーが要求することも,実は相当のコストを費やすものである,ということはしばしばあり得ます。

特に,パッケージを利用するタイプのシステム開発である場合には,ベースとなるパッケージに沿っている限りはそれほどコストのかからない開発も,そこからずれた途端に逆にコストは跳ね上がります。これは,第三者が構築したシステムに手を入れなければならないからです。

このようなユーザーサイドの想像の欠如が過剰要求を招き,ベンダー側の開発やテストに過大な負担を負わせることになります。その結果,未完成になったりバグが残ったりということになります。

ただ,ユーザーが過剰要求をしているからといってユーザーに全責任がある,というわけではありません。この点については,システム開発のIT法務のプロジェクトマネジメント義務の項目をご覧下さい。ベンダーとしては,ユーザーが過剰要求をしないように,あるいはそのような要求に対して,コストや納期との兼ね合いで,その利害得失を説明する義務があると考えられています。

このような事態を防止するためには,ユーザーとしては自分の要求にどれだけの時間とコストがかかるものであるかをしっかりとベンダーに確認することが重要です。一方でベンダーとしては,以上のような誤解を招かないように,ユーザーにコストがどれだけかかるかを説明し,なぜ(見かけに反して)コストがかかるのか,しっかりユーザーに理解をしてもらうことが重要でしょう。

類型③ ベンダー・ユーザー意思疎通不全型

これは,ユーザーが自分の要求するシステム,ソフトウェアの内容をうまく伝えられないことにより生じます。

デザインのような「目に見える」ものであれば,双方の認識に齟齬がでることはあまり考えられません。この点については,ちゃんと紙で説明をするなどすれば,意思疎通がうまくいかないというトラブルはある程度防止出来ると思います。

しかし,機能や仕様の細部,また,言葉や図にしづらいインターフェース周りの挙動といったものは伝えることが困難です。

こういった点については,発注時にしっかりと伝えきるのはそもそもほとんど無理とも考えられます。ですから,ここは少し工夫が必要でしょう。

具体的には,一回発注して,後はひたすら納期まで待つ,というのが言語道断なのは当然として,開発途中において報告をもらうこと,それだけではなくて原型つまりプロトタイプのようなものを作ってもらって,認識にずれがないか随時確認をしていくことが重要でしょう。

まとめ-とにかく紛争予防をし,それを紛争「準備」につなげる

具体的にケースを想定した話ではないのでかなり概括的な話になりましたが,心がけが重要です。

システム開発やソフトウェア開発というのは,システムやソフトウェア自体が目的ではありません。そのシステム,ソフトウェアを運用して,具体的にサービスを提供して利益を上げたり,業務に活用して効率化を図ることこそが目的です。

ですから,システム開発,ソフトウェア開発で紛争が起きた場合,ユーザーにとっては代金以上にそれらの計画が狂うことで損をしてしまいます。

ユーザーはそういった損害を被らないためにも,ベンダーはユーザーにそういう損害を負わせて自分の評判に傷がつかないよう,双方が協力をすることが重要です。

また,不幸にして紛争が発生してしまった場合に備えて,以上のような対策を欠かさず紛争になっても「勝てる」ようにすることも大事です。

IT法務.jp では,システム開発,ソフトウェア開発のトラブルへの対応,その予防に関するアドバイスなどを扱っております。内容や費用等につきましては,お問い合せください。

(平成25年3月15日 弁護士 深澤諭史-なお,免責事項もお読み下さい