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ここでは,いわゆるステマ(ステルスマーケティング)について,法律上・事実上の問題についてQ&A形式で解説します。

Q.「ステマ」とは何ですか?

A.「ステルスマーケティング」の略です。実態は広告であるにもかかわらず,広告であることを伏せて行われる広告のことをいいます。

ステルスマーケティングというのは,法律上の言葉でなく,確定した定義があるわけではありませんが,概ね,このようなものと理解されています。

本稿でも,以下,この認識に基づき解説します。

Q.例えば,どういったものがステマにあたるのでしょうか?

A.典型的には,有名人AがメーカーXから「新製品甲を紹介して欲しい」と依頼を受けて,Aが自分のブログに「Xの新製品甲を買いました!素晴らしい性能です!」と紹介する,という例が考えられます。

ステマというのは,広告であるにもかかわらず,広告であることを秘して行う広告をいいます。

この例ですと,XがAに依頼しているのは,新製品甲の広告です。ですが,Aが掲載したブログの記事は,外見上は広告ではなく,まるでAが甲を買ってレビューをしたかのような体裁になっています。

ステマについて上記の定義によれば,これは実態は広告なのに外見からは広告であると判断出来ませんので,ステマにあたる,ということになります。

Q.ステマの何が問題なのでしょうか?

A.誤った印象を与えるから問題になります。

私たちが,商品やサービスの情報を得るときは,広告であったり,あるいはサイトのレビュー,クチコミなどを参考にします。

私たちは,手に入れた情報をそのまま鵜呑みにするのではなくて,内容はもちろん,誰による情報なのかも考慮して,それをどれだけ信用するかを決めます。

広告であれば否定的なことは書くわけないですし,広告を作る者は,すこしでも多くの人の目を引くように作るわけですから,その表現がややオーバーになることもあります。誰でもそういうことは分かっているわけですから,広告であれば,その内容は広告であることを差し引いて判断されます

一方で,クチコミ・レビューといったものであれば,ある程度の偏りはあるとはいえ,基本的にはそれを書いた人は製品・サービスの提供者と,利害関係が無いのが通常です。ですから,クチコミ・レビューは,広告の場合のような「差引き」はなく,より信用され,重きを置かれるということになります。

ステマは,広告であるにもかかわらずそれを知らさないことで,消費者が広告に対して通常行う注意を払うことが出来ず,正しい評価が難しくなるので問題であると考えられているのです。

Q.ステマであっても,虚偽でなければ問題ないのではないですか?

A.問題になり得ます。

上記の通り,同じ内容であっても,広告としての情報なのか,クチコミ・レビューとしての情報であるかで,評価は変わってきます。

ステマの問題の中心は,その真偽ではなくて,本来は広告としての重みしかない情報について,より客観的なクチコミやレビューとしての重みを与えてしまう点にあります。

Q.ステマを行った場合,どのようなリスクが考えられますか?

A.事実上のリスクと法律上のリスクの両方が考えられます。

事実上のリスクとしては,非常に強い非難を受けることが予想されます。

また,法律上のリスクとしては,可能性はさほど高くないと思われますが,不当景品類及び不当表示防止法(いわゆる景表法)に違反するリスクがあります。

Q.ステマを行った場合の事実上のリスクはどの程度深刻なのでしょうか?

A.重大な非難がされる他,今後のプロモーションにも悪影響があります。

情報の信用性を判断するには,内容の検証も重要ですが,誰がどのような意図で作成をしたかを考慮するということも,同じかそれ以上に重要です。

ですから,意図・目的を偽るステマは,内容で嘘をつくのと同じくらい重大な,消費者に対する背信行為であると評価される可能性があります。

しかも,ステマというものは,インターネット上ではわかりやすい陰謀論ということで,ある意味でウケがよい事件です。ですから,大勢の人間が興味本位で集まり,大騒ぎになり,いわゆる炎上に結びつくことも十分に考えられます。

また,リスクはこのような非難だけではなく,今後にも影響します。

一度ある商品やサービス,あるいは企業についてステマが行われてしまうと,今後,仮に同一のものについて肯定的なクチコミ・レビューがあったとしても,常に「ステマではないか」という疑いが向けられることになります。

そうすると,正当な評価すら得ることが難しくなってしまうこととなり,その後のプロモーション活動にも深刻な影響を与えてしまうことになります。

Q.ステマを行った場合,法律上のリスクとしては,どのようなものが考えられますか?

A.景表法上の不当表示に該当する可能性があります。

景表法というのは,ごく簡単に言うと,消費者が正しい判断と選択が出来るように,景品や広告の内容,方法を規制した法律です。

不当景品類及び不当表示防止法1条

この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。

この法律は,「景品」と「表示」について一定の制限を設けています。

ステマの場合は,「表示」が問題になります。景表法に違反する表示は不当表示と呼ばれています。

Q.景表法のどの規定に違反することになりますか?

A.優良誤認(4条1項1号)となる可能性があります。

この規定は,商品やサービスについて,実際のものよりよいものであると表示することを禁じるものです

不当景品類及び不当表示防止法4条1項柱書

事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 

不当景品類及び不当表示防止法4条1項1号

商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

ステマにおいては,広告よりも客観性が高いと考えられるクチコミ・レビューを装って,広告が行われます。

実際には「これは素晴らしいものだ」というクチコミ・レビューがないにもかかわらず,それがあるかの様に装うわけですから,「実際のものよりも著しく優良であると示し」または「事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示」したとして,不当表示に該当する可能性があります。

ただし,以下に述べるように可能性は決して高くはないと考えられます。

Q.景表法違反にはどんな制裁がありますか?

A.民事上は賠償義務を負う可能性があり,刑事上は,行政の命令に従わなかった場合のみ犯罪が成立します。

景表法違反は,法律違反ですので,これが理由で他人に損害を与えた場合には,賠償義務を負う可能性があります(民法709条)。具体的には,ステマを信じて購入した消費者が,その商品が期待通りの性能でなかったことを理由として,賠償を請求する可能性があります。

ただ,実際問題として,ステマと損害(購入したことや,期待の性能ではなかったこと)との間に因果関係があるかどうかは微妙なところであり,認められる可能性は低いのではないかと思われます。

刑事上の責任としては,不当表示は直ちに犯罪になるものではありません(ただ,結果的に他の法律に違反して罰則の適用を受ける可能性はあります。)。違反について行政から「措置命令(景表法6条柱書前段)」という,是正を命じる命令を受け,それでもそれに従わなかったときに,罰則の適用をうけます(同法15条)。

重さとしては,「二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金(又はその両方)」と定められています。

Q.ステマをしたら必ず景表法違反になりますか?

A.事案によりますが,ならない可能性が高く,違反を問われる可能性も低いと思われます。

優良誤認の不当表示と認められるには,実際のものより著しく優良であるとの表示又は事実に相違して他の事業者のものより著しく優良であるとの表示が必要です。

ごく簡単にいうと,嘘をついて真実よりも持ち上げる内容であることが必要です。

つまり,景表法が問題にしているのは,あくまで「内容」であって「形式」つまり,広告なのにクチコミやレビューの体裁をとることではありません。

そうしますと,単に広告であることを黙っているだけでは,すくなくとも商品やサービスの内容や品質を偽っているものではないので,不当表示に該当すると判断することは難しいと思われます。

たとえば,さっきの例ですと,Aが甲のことを「素晴らしい」ということについて,これを直ちに嘘であると評価することは難しいと考えられるでしょう。

ただ,Aが「他のどれよりも●●の点で▲▲であるから,明らかに優れているといえる。」などとより具体的に,しかも虚偽を織り交ぜた場合には不当表示の問題になると考えられます。

ただし,この場合ですとステマだから違法になるのではなく,単に発言内容が優良であると誤認させる内容であるからに過ぎません(最早ステマの問題ではありません。ステマでなく,普通の広告としても違法になり得ます。)。

Q.著名人に商品PRを頼みたいのですが,ステマになって非難を受けないようにするためにはどのような点に気をつければよいですか?

A.著名人のPRと商品提供元との関係を明らかにし,広告企画であることを明らかにするよう心がけるべきです。

ステマは,企業から依頼を受けているのにそれを秘して,ただの感想のような体裁をとっている点が問題とされています。

ですから,ステマであるとの非難を受けないようにするには,その「PR」が,企業からの依頼に基づくことを明記することが重要です。新聞で言えば,記事広告といわれる記事のような体裁をとった広告が掲載されることがありますが,これには「企画」や「広告」「PR」など明記されています。このようなケースを見習うことも有益でしょう。

また,著名人が発するPRの内容について,企業がどこまで関与できるか,予め外部に公開できる程度には方針を設けておいた方が無難でしょう。たとえば,どんなにまずくても好物で昔から食べている,とブログ記事を書いて欲しい,というような依頼は避けるべきでしょう。

ステマについては,法律上の制裁よりも,事実上の不利益のほうが問題になると思われますので,一般消費者が納得できるような説明を用意しておくことが重要です。

ただ,一方で,あまりにPRであるということを前面に出すと,広告効果が薄れてしまうかもしれません。法律上のみならず事実上も問題の無い内容にしつつ,しかも広告効果を維持するためには,相応の工夫が必要でしょう。

まとめ

    1. ステマは,宣伝広告であるにもかかわらず,それを秘密にして行う広告です。
    2. ステマを行った場合,企業や商品のイメージが著しく傷つけられるという事実上のリスクと,景表法違反という法律上のリスクがあります。
    3. 法律上のリスクは,さほど大きくないと考えられます。
    4. 事実上のリスクは,信用を失うことで今後のプロモーションにも悪影響が出るなど大きなものになる可能性があります。
    5. 著名人のブログ記事などをPRに使う場合には,企業と著名人の関係や,記事への関与の程度を予めよく決めておき,さらに宣伝広告であることを明記することなどが必要になると考えられます。

ステマに関する法律上・事実上のリスク問題などについても,相談を承っております。また,インターネットを活用した広告,プロモーションに関する相談についても幅広く取り扱っております。まずはお問い合せください。
(平成25年5月30日 弁護士 深澤諭史-なお,免責事項もお読み下さい