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インターネット上の法律情報

最近は,ネット上でいろんな専門的情報が入手できるようになりました。法律情報であっても例外ではありません。ここでは,弁護士が,ネット上の法律情報の注意点について解説します。

インターネット上の法律情報について

よく,ネットに書かれていることは信用できない,とはいわれますが,昨今では情報の絶対量が増えていること,信用できるソースも参加していること,それらを比較検討できること,検証に堪えない情報は淘汰される傾向にあることから,一時期よりはメディアとしての信用性は向上したのではないかと思います。

現実に,Wikipediaを例にとってみても,大勢のボランティアが絶えず更新や検証を行っていますので,ある程度の信用性があるのではないかと思われます。

インターネット上の法律情報の分類と傾向

法律情報は,分類するとすれば概ね2つに分けられるのではないかと思います。

一つは,法律の規定を列挙してその内容を解説するものです。スポーツで言えば,ルールブックやそれの解説のようなものです。

もう一つは,ある実在の,あるいは想定されたケースについて,法律の適用がどうなるのかを述べるものです。スポーツでいえば,この行為が反則になるとか,あるいは得点になるとか,そういうことを解説することです。

法律の規定を解説する情報は比較的正しいのが多い

統計を取ったわけでも,一つ一つ検証したわけでもありませんが,法律の規定を解説する情報は,比較的正確であることが多いという印象を受けます。

その理由は,法律の規定を客観的に解説するもので主観が入りにくいこと,あくまで規定の解説なので実際の条文に照らし合わせて解説するので誤りが生じにくいこと,専門家が一般への情報提供として作成しているケースが多いことにあるのではないかと思っています。

もちろん,あくまで「傾向」ですので,必ず正しいというわけではもちろんありません。

法律適用について述べるものは誤りが多い

逆に,「◯◯なのですが,法律上どうなりますか?」「◯◯ですが,どうしたらいいでしょうか。」「◯◯といわれたのですが,どういうことなのでしょうか」という様なテーマ・質問への解説・回答は,誤りが非常に多いと思います。

具体的に,どこで何が間違っているか,そういうことを指摘する場ではないので,いちいち摘示はしませんが,特に作成者がわからないもの(匿名)であれば,信用はできないものが多いと感じます(余談ですが,裁判上は基本的に作成者が不明な文書というのは,それだけで価値がないと考えられています。)。

実際,目にした中でも「問題になっている法律の先頭のあたりの条文に,ほぼそのまま答えが書いてある」にもかかわらず,全く正反対の解説をしているものがありました。いわゆるQ&A形式で投稿を受け付けるサイトだったのですが,ちょっとどうかなと思った記憶があります。

なぜ,法律適用に関するネット上の情報には誤りが多いのか

これについては,質問する文書あるいは,回答する文書をよく読むと

  1. 質問者は法律が分からないから質問をしているにもかかわらず,自分で法律問題の形にしている。
  2. 質問者は,事件の当事者に対して,非常に強い非難をしている。
  3. 質問者も回答者も文章が非常に感情的である。
  4. 回答者は,自分の回答に異常に自信がある。
  5. 回答内容は,法律が分からない人に説明するものであるにもかかわらず,法律用語(文献に載っていない自作と思われるものも含む。)が非常に多い。しかし,間違っている。

というような傾向があります。

まず,質問者はもちろんですが,回答者についても内容が不正確であるということからすれば,専門家では無いと思われます。

そして,専門家でないにもかかわらず,回答をしているという事は,一応は(その質は問わないとして)知識があると考えられます。

専門家でないにもかかわらず知識があるという事は,どこかで勉強をしていると考えるべきでしょう。

仕事以外で法律を勉強する動機があるとすれば,回答者がその分野の事件の当事者か,あるいは事情に関心や主張をもっているということが,理由として考えられるのではないかと思います。

逆に言えば,ネット上で非専門家が法律知識を公開している場合,相当の確率で「自分が事件の当事者であるから述べている」ということがいえるのではないかと思います。

当事者の意見の危険性

事件の当事者の意見というのは,非常なバイアス,偏り,思い込みが入り込みます。これは別に悪いことでもなんでもなくて,そもそも自然なことです。

弁護士にとっても,相談者の方が,自分で不正確な形で法律問題に組み立てており,しかもそれに固執していたり,あるいは,断片的な相談・質問をいろんなところで繰り返して,「Aさんはこういっていた。B弁護士会はこういっていた。だから,○○にちがいない」など,自分に都合のいい情報・見解を弁護士に押しつけようとされると,事件処理に差し支えになります。ですから,そういう相談にならないよう非常に気を遣っています。

また,我々弁護士であっても,自分が当事者であれば,代理人の弁護士を別に依頼することが多いです。やはり,第三者でなければ,的確な訴訟追行は行えません。

ですから,法律問題,自分の大事な権利が関わっている場面で,感情的な,しかも非専門家の当事者の意見を参考にして決めるというのは,極めて危険かつ無謀な行為です。

例えるならば,手術をするのに,同じ病気を患っている一般人の意見を聞いて自分で自分の体を切るようなものでしょうか。

法律というのは,複数の法律や解釈,実務上の運用といった複数の要素が重なり合って,一つの体系をなし,それに基づいて運用されています。自分が主張する断片的な事情に基づいて,自分に都合のいい意見をつまみ食いして判断をしていては,取り返しの付かないことにもなりかねません。

まとめ

インターネット上の法律情報について,その価値や存在意義を否定するわけではありませんが,その利用には慎重を期した方がいいでしょう。とくに,自分の事件について匿名で質問をして,匿名で回答を得たところでそれを実際に利用するのは,個人的には正気の沙汰とは思えません。不動産を買うのに「サクラ」の意見だけを聞いて判子を押すようなものです。

一方で,保証をするわけではありませんが,単に客観的に規定を解説したもの,特に具体的な条文をしっかりと引用したものであれば,それなりに信用できるものもあるのも事実です。特に行政機関作成のものであれば,なおさらです。

当事者が質問をし,当事者が都合のいい回答をして納得をする,というのは,実は情報が欲しいのではなくて安心が欲しいだけなのかも知れません。ただ,そういったものは多くの場合はまやかしです。健康診断で,検査結果を偽造しても,病気が消えて無くなるわけではありません。

本当に,自身の問題を解決したいと真摯に考えているのでしたら,専門家に早めに相談することが重要でしょう。

(平成25年1月12日 弁護士 深澤諭史-なお,免責事項もお読み下さい