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この記事はプロバイダ・掲示板等の管理者向けです。自分の投稿について開示請求を受けて発信者情報開示請求の意見照会書を受け取った利用者の方は,「発信者情報開示請求への対応」をご覧下さい。

さて,インターネットの投稿を巡って経由プロバイダ(携帯電話会社や,いわゆる一般のプロバイダのことで,インターネット接続サービスを提供する者をいいます。)や,コンテンツプロバイダ(SNSや掲示板等を運営する者をいいます。)が,発信者情報開示請求を受けることがあります。

これらの者は,法律上保護されてはいますが,一方で,対応を誤れば法的な責任を問われますし,裁判対応も強いられ,かつ,裁判においても適切な対応が求められることになります

ここでは,その仕組み,留意点について解説します。

Q.法律上の「プロバイダ」の意味は,私達のイメージより広いと聞きましたが,そうなのでしょうか?

A.接続サービスを提供するプロバイダのことは経由プロバイダといい,通常,プロバイダといえば,この経由プロバイダだけをいいます。

しかしながら,実務上,掲示板やSNSサービスの提供者も,「コンテンツプロバイダ」として,プロバイダとしての扱いを受けます。

Q.私はプロバイダ(ここでは,経由プロバイダつまり接続業者だけでなく,掲示板等の管理者(コンテンツプロバイダ)も含みます。)なのですが,発信者情報開示請求を受けました。この手続きはどのようなものですか。

A.法律上の手続に則り,発信者(問題の情報を投稿した者)の情報を開示するかどうかを決める手続きです。

法律に則り,あなたは,発信者に意見照会をし,開示するかどうかを判断をしなければなりません。

これら一連の手続き,プロバイダの責任を定めたのが,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)となります。

Q.ネットの書き込みは,投稿した人(発信者)と,その投稿で被害を受けた(と主張する)者の問題だと思うのですが,何故,私(会社)宛に請求が来たのですか。私と関係があるのですか?

A.被害者としては,被害回復をするには,プロバイダ(あなた)に発信者情報を尋ねるほかないからです。

インターネットにおける情報発信の構造として,発信者は掲示板等に投稿をし,掲示板等が投稿された記事を発信し続けます。

つまり,最終的な責任者である発信者は,掲示板等の管理者(コンテンツプロバイダ)としか「通信」しないわけですから,その通信の記録を持っているコンテンツプロバイダに発信者情報を尋ねる必要がある,という構造になっています。

Q.私は,発信者についてはIPアドレスだけしか知らず,氏名も住所も知らないのですが,請求者は,IPアドレス(と発信日時)で発信者を特定出来るのですか?

A.それだけでは特定出来ないので,IPアドレスから経由プロバイダ(接続業者)を割り出して,経由プロバイダにもう一度,発信者情報開示請求をすることになります。

Q.結局,私はどうしたらいいのでしょうか?

A.プロバイダ責任制限法4条2項に基づき,発信者(つまり,投稿をした人です。)に意見照会をして下さい。

発信者が開示に同意をするのであれば,開示に応じるべきでしょう。

一方で,発信者が開示に同意をしない場合には,投稿内容と請求者の主張を検討して,①投稿内容が流通することで請求者に権利侵害が生じていることが明らかであり(4条1項1号),かつ,②開示について賠償請求等の正当な理由がある(同2号)のであれば,開示をし,そうでなければ開示をしない対応を取るべきになります。

意見照会が出来ない,または返事がない場合については,基本的には理由のない開示拒否であると扱うのが実情であり,また多くの場合は適切です。

Q.判断が難しいのですが,間違って開示をしてしまったり,逆に,間違って開示をしなかったりした場合には,どうなりますか?

A.間違った開示については発信者から,間違った非開示については請求者から,それぞれ損害賠償等の責任追及を受ける可能性があります。

Q.開示してもしなくても,間違っただけで責任追及を受けるようですが,どうすればよいのでしょうか?

A.開示に応じない方向で検討をすべきです。

法律上,間違った開示については,通常の過失(不注意)でも責任を負いますが,間違った非開示については,重大な過失が無ければ責任を負いません。

ただし,非開示でも,その判断に重大な過失があるといえるような事情があれば,責任を負う可能性はあります。

Q.実務上,プロバイダはどのような対応をしていますか?

A.基本的に,裁判外での開示については,コンテンツプロバイダ(掲示板等の管理会社)は応じる者も応じない者もいる一方,経由プロバイダ(携帯電話会社等,接続業者)については,応じない傾向があります。

コンテンツプロバイダが応じる傾向があるのは,開示されるのはIPアドレスであり,直ちに発信者の特定に繋がらないこと,その後,経由プロバイダへの開示請求は拒絶されて裁判になるので,そこで適正に処理されるだろう,という見込みからではないかと思われます。

一方,コンテンツプロバイダであっても,氏名や住所など,直接発信者を特定出来る情報が問題になっているときは,開示に応じないケースが多いのではないかと思われます。

Q.私が開示を拒絶した場合は,どうなりますか?

A.請求者はあきらめるか,さもなくば,あなたを訴えて開示を請求することになります。

特に,弁護士が代理して請求をしている場合には,その弁護士はあなたが開示請求を拒否する可能性を十分に予測しているはずです。そうなると,訴えられる可能性は相当高いといえるでしょう。

Q.訴えられたらどうしたらいいのでしょうか?

A.あなたは,発信者(投稿した人)に代わって,その人の開示されないという利益を守るため,意見照会の返事があればそれも参考にして,被告として原告の請求,主張を争う義務があると考えられています。

したがって,適切に対応をすべきです。

Q.発信者情報の開示を求めて訴えられました。訴状に開示をしろということの他,訴訟費用は被告の負担とする,とありました。これはどういう意味なのですか?

A.訴訟費用は,敗訴者負担が原則です。ですから,通常,訴状にはそのように記載されます。

あなたが敗訴,つまり開示請求が認められた場合には,あなたには発信者情報を開示するほか,訴訟費用を負担する義務を原告に対して負うことになります。

Q.訴訟費用とは何ですか?どれくらいの金額になるのですか?

A.裁判所に納めた印紙代,郵便切手代(ただし未使用分を除く),当事者出頭日当,旅費,書面作成費,提訴に必要な証明書の取得費用などです。

弁護士費用は含まれません。

具体的な金額ですが,発信者情報開示の場合には,印紙代は1万3000円となります。郵便切手代は6000円以内が通常です。他の費用は計算が難しく,特に,日当と旅費は高額になってしまうケースがありますので,必要があればご相談下さい。

Q.裁判の対応のために弁護士に依頼したり,あるいは自分で対応するのにコストがかかりました。これは,発信者(投稿した人)に請求できないのですか?

A.理論的には可能かも知れませんが,前例が見当たらず,困難でしょう。

そもそも,発信者情報開示請求がきたのは発信者の投稿が原因ですから,そもそもの費用は発信者が負担すべきとも考えられます。

一方で,プロバイダになる(接続業者だけではなく,掲示板管理者も含む。)というのは,相応の責任を自ら負うという意味もあるでしょうから,何でも請求できるかというと,やや疑問が残ります。

開示が認められた場合,少なくとも判決で投稿の違法性が認められたわけですから,そういうケースでは,発信者に費用を請求できる余地はあるかもしれません。ただ,このあたりは,事情にもよりますので,必要であれば弁護士への相談を検討すべきです。

Q.警察などの捜査機関から,刑事訴訟法197条2項(等)に基づく捜査関係事項照会というものがきたのですが,これは発信者情報開示請求とは違うのでしょうか?

A.発信者情報を求めるという点は同じですが,異なる手続です。

刑事訴訟法という,刑事裁判や犯罪捜査について定めた法律には,捜査機関は,捜査の必要があれば,公私の団体に照会(質問)を出来ると定められています。

なお,ネット上には,何故か法的根拠がない,義務がないなどという言説もありますが,間違いです。条文上,「照会して必要な事項の報告を求めることができる。」とありますが,法律上「できる」というのは,そうされるほうには義務があるという意味になります。

インターネットを利用した犯罪では,プロバイダ等の関係業者にこのような照会がなされ,それを元に犯罪捜査が進められることも珍しくありません。

法律上,一般的には,回答する義務があるとされていますが,やや注意が必要です。

Q.捜査関係事項照会へは,どのように対応をしたらよいのでしょうか?

A.実情としては,開示に応じるところがほとんどのようです。

ただし,経由プロバイダによっては,捜索差押令状がないと開示をしない,という扱いになっているところもあります。

コンテンツプロバイダ(掲示板等の管理者)であれば,基本的に開示をするべきでしょう。ただし,応じた場合に免責規定があるわけでもなく,責任は自分が負担することになりますから,機械的に応じる事無く,問題となっている事案をよく検討すべきです。

一方で,拒絶した場合には,捜索差押の対象となる可能性がありますので,その点も留意が必要です。

まとめ

    1. ネットの投稿について,発信者(投稿した人)に責任追及するには,発信者情報開示請求が必要である。

    2.  

      被害者(であると主張する者)は,発信者に直接連絡できないので,プロバイダに発信者情報開示請求をする。
    3. 実務上,プロバイダは接続業者は経由プロバイダとよばれ,掲示板やSNSの管理者はコンテンツプロバイダとよばれ,どちらも広い意味でのプロバイダである。

    4. 開示請求を受けた場合は,プロバイダは,発信者(投稿者)に開示に応じるかどうか,拒否するなら理由は何か,意見を照会しなければならない。

    5. プロバイダとしては,基本的に裁判外の開示請求は拒否するのが通例であるし,法的リスクも少ないが,皆無ではない。一方で,最近,特にコンテンツプロバイダは,裁判外での開示にも応じる傾向がある。

    6. 不当な非開示は重過失でないと責任を問われないが,不当な開示は軽過失でも責任を問われる。

    7. 開示を拒絶した場合,裁判になる可能性が高く,敗訴すれば訴訟費用の負担を命じられることになる。

発信者情報開示に関係する法律相談を広く取り扱っております。無料・即日で電話相談を承ることも可能(ただし,事案・予約状況によります。)ですので,まずはお問い合せください。
(平成28年4月12日 弁護士 深澤諭史-なお,免責事項もお読み下さい