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はじめに

相談を受ける中で,契約書はどう書けばよいか,あるいはどういう条項をいれるべきか,と質問されることがよくあります。

たしかに契約書は重要です。どのような条項を入れるのか戦略的に考えることも大事です。

ただし,契約書は重要で大きな役割を果たすといっても万能ではありません。

ここでは,契約の基本と契約書と契約の関係,さらには契約書で出来ること,できない(あるいは,難しい)ことを説明し,契約書の活用法を解説します

契約の成立と内容

最初に,契約の成立と内容について説明します。

契約というのは,申し込みと承諾によって成立します。たとえば,500円でこのカップラーメンを買います,はいお売りします,といえば,契約が成立し,売主はカップラーメンを引き渡す義務を,買主は500円を支払う義務が生じる,ということになります。

契約の成立には,このように意思の合致が必要であるとされています。そして,契約の内容,つまり双方が負うべき義務というのもそのときの意思により定まります。

契約の内容の決まり方

契約の成立に必要なのは意思の合致であって,契約書は必須ではありません。たとえば,コンビニで買い物をするとき,ピザの出前を頼むとき,いちいち契約書を作りませんが契約は成立しています。

では,決めておかなかったこと,例えば先ほどのカップラーメンの件では,品物は届けるのか,取りに行くのか,代金はいつ払うのか,そういったことはどう決まるのでしょうか。

契約をしたけれど,特に約束をしなかった点については,民法や商法などの法律により決まります。IT業界になじみの表現を使えば,「指定が無ければデフォルトのまま」ということになります。

ですから,契約書を作成するにあたっては,決めてあることはもちろんですが,決めてないことも同じくらい重要ということになります。また,民商法の知識無くして契約条項を決めたり交渉したりするのは非常に危険であるともいえます。

なお,どんな内容でも,約束した以上は無制限に認められるかといったらそうではなく,法律によって規制される条項もあります。ただ,原則は決めた通りになるということです。

契約書を作る意味

説明したとおり,契約の成立やその内容を決めるにあたっては,契約書は必要ではありません(ただ,業法により契約書の作成が義務づけられているケースはあります。ご注意下さい。また,企業間取引において契約書がないという事実は,そもそも合意がなかったのではないか,と考えられる要素にもなり得ます。)。

では,契約書は何のために作るのか,それは証拠を作るためです。証拠を作ることで,契約が成立したこと,そしてその内容を明確に証明して,後日の紛争を解決し,あるいは紛争の発生を防ぐことにあります

契約書の効果と限界

契約書を使えば,契約の成立や合意の内容については,ある程度明確にする事が出来ます。そういう意味で,どこかからかひな形を拾ってきて(ただ,事前に内容をよく理解してからにしてください。安易なひな形の利用はお勧めしません。)記名押印するだけでも,契約の成否や内容に関する争いを「ある程度」は防止できます。相手方が争ってきても,確かに合意があったとの証拠にすることが出来ます。

ただ,ウェブ制作にしろ,システム開発にしろ,注文の内容を言葉にするのは非常に難しく,そもそも契約後に詳細が決まり,さらに,その詳細が問題になる(このあたりについては,コラムやガイドでたびたび取り上げていますので,該当ページを読んで参考にして下さい。)のですから限界があります。

契約書では難しいこと

たとえば,契約書に「甲は…しなければならない。」とか,そういうことを書いてもそもそも相手方がちゃんと従ってくれなかったら意味がありません。

不良債権問題をイメージして頂ければわかると思いますが,どんなに契約書が完璧に書いてあっても,それを守ってもらわなければ意味がありません。契約書には,何を守るべきか,あるいは守らなかったときにどうなるかを書くことは出来ます。しかし,契約書で契約を「守らせる」にはもう一工夫が必要になります。

大事なのは争いになった時に突き付けることだけではなく,そもそも争わずにすむことです。この観点からいうと,とりあえず契約書を作りましたので記名押印しましょう,というのだけでは不十分という事になります。

より効果的に契約書で紛争を防ぐ方法

システム開発やウェブ制作の契約においては大事なことは,何を作るか,そして代金はいくらか,あるいは納期などです。

ですから,通常は契約に至るまでの間にそれらの点について交渉をし,それらが決まって合意が出来た後に契約書の調印に進むということが考えられます。

ここでのポイントは「大事なことについては交渉しているが細かいことについてはあまり交渉していない」ということです。

たとえば,目的や代金は定まっていても,納期に遅れた場合はどうするかとか,打ち合わせの方法はどうするかとか,仕様変更が許される範囲(あるいは仕様変更とみなされる範囲)については,十分に交渉できていないことが予想されます。

しかし,現実にトラブルになるのはこれらの点であるケースが多いです。トラブルになるのは,お互いに共通認識が希薄なことが原因になっているケースも多いのではないでしょうか。例えば,ユーザーからすれば「仕様変更をお願いする」ということの重み,ベンダーからすれば「納期を遅らせること」や「要求仕様を独断する」などの意味が十分に認識できていないという可能性があります。

こういうことを防ぐには,互いに「意識」をすることが大事です。

契約書の条項の交渉と,取り交わしは,こういう細目について「共通認識を持つ」またとない機会です。ですから,契約締結前の交渉の段階で,目的物や代金だけでなく,こういった細目も交渉の俎上にのせることが重要です。

そうはいっても,細かいことをいちいち交渉するのは難しいかも知れません(というより,難しいに決まっています。)。そこで,ベンダー側であれば,見積り書と同時に契約書案を添付するなどの方法で提案することが考えられます。ユーザー側であれば,ベンダー側に早期から契約書を見せてもらい「会社の方針で,●●という条項が必要である」などと要望を伝えていく方法が考えられます。 

まとめ-契約書は,証拠としてだけではなく,共通認識をもつ道具としても利用すべき

ウェブ制作やシステム開発においては,契約書をちゃんと作ろうとするとそれなりに手間がかかります。

ただ,せっかくそういうコストをかけるのであれば,単に「契約書には●●とあるのだから」というような証拠としての使い方としてだけではなく,共通認識を持ち,お互いが責任をもって契約を遂行するという意識をもつ道具として契約書をつかうべきです

IT法務.jp では,契約書の作成や契約条項についての法律相談,あるいは,契約の細目についての交渉代理や助言なども取り扱っております。内容や費用等につきましては,お問い合せください。

(平成25年2月26日 弁護士 深澤諭史-なお,免責事項もお読み下さい